道場訓

道場訓とは
空手道場で大事にされていること
空手家としての心得、約束事です。

空手道場 風林館には五つの道場訓があります。
空手においても人生においても大事なことを、子供にもわかるような言葉で書いてあります。

空手は武道です。武道には「礼に始まり礼に終わる」という言葉があります。
風林館では、空手の武道精神を重んじ、特に礼儀作法をとても大切に考えています。

礼儀作法とは、人間関係におけるマナーでもあり、エチケットでもあります。
人とコミュニケーションしていく中でいろいろなシーンを経験し、練習していきながら身についていくものだと考えています。

たとえば、黒帯になっても、試合の後の握手の際、相手へのおじぎの角度が浅く、自分であとでその様子を見返して恥じる…なんてこともあります。
磨きあげた武術を、全力でぶつけあう貴重な経験を与えてくれた相手へのお礼の態度として、ふさわしい仕草をとれていたのか。自問自答し、次の機会への反省とします。

武術の技術と同じように、少しずつ体得していきましょう。最初はできなくてあたりまえです。失敗や恥をかく経験も含めて、人間関係のいろいろなシーンで練習していきましょう。

空手の稽古の中では、世代や性別にかかわらず、「お願いします」「ありがとうございました」とお互いに言いあうシーンがたくさんあります。
年齢や立場に関係なく、自然にまわりに礼儀正しくあれるよう、仲間たちと少しずつ練習していきましょう。

なまけたい、手を抜きたい、苦手なことはやりたくない…

気持ちはわかります。そういう気持ちと闘いながら人間は生きています。

苦手に向きあい、なまけず、がんばったその先に手に入れられるものがあると分かっていても
それでもついつい、目の前のラクさに心が惑わされ、弱い心に負けてしまうのが人間でもあります。

でも、
「あーあ、あのときもう少しがんばっていれば、今ちがっていたのにな。」
「あの壁さえ乗り越えていたら、きっと道は開けたのにな。」
なんて、あとでそんなふうに後悔するのは、つまらないですね。

稽古のたびに毎回、弱い心に負けぬこと、と自分に言い聞かせる。
それが自分の心の芯になる。
壁にぶつかったときも、あと一歩こらえて、壁を乗り越えることができる人間を目指しましょう。

風林館はフルコンタクト空手の道場です。防具をつけますが、突き技も蹴り技も実際に当てて稽古します。しかし、それはあくまで空手のルールの中で行われる武術です。技は暴力ではなく、技術力の高め合いです。

現代社会では暴力は問答無用で許されません。傷害罪であり犯罪です。
道場生も、空手の技を道場の外で、喧嘩で勝つためや、人に言うことを聞かせるために使ってはいけません。

真に強い空手家は喧嘩をしません。空手の道場で、自分が人に与えるダメージの強さを学び、自分のパンチや蹴りの危険性を分かっているからです。
空手の道場では、組手の稽古を通じて相手を傷つけないよう力加減をしたり、自分の感情をコントロールすることも学びます。

武道を追求する者として、空手を暴力として使わない。
道場にいるひとりひとりが心に深く刻む、大切な約束事です。

言われる前に、自分から気づいて、自分から動くということはとても大事なことです。

空手で重視される[挨拶]ひとつとっても、相手から声をかけられた挨拶に返事をするのと、自分から先に挨拶をしにいくのでは、相手に与える印象も、伝わる気持ちも違います。

指示を待って、指示の範囲内で動くのではなく、自分が良いことだと思ったことは、勇気を出して自分から進んで動けるようになりたいですね。

負けたからいやになった。
人より下手だからもうやりたくない。
難しそうだから
めんどくさそうだからもうやめる。

空手だけでなく人生の様々な場面で
いやになるポイント、
くじけるポイントは誰にでもあります。

しかし、継続は力なり、という言葉は本当です。

継続していれば、継続していること自体が自分を支える力になったのに
何者かになれたのに

何者かになる前にやめてしまえば、結局、何者でもない自分のままです。

何かをやめる、方向転換する、何かから逃げるということは、時と場合によってはとても大切なことです。その選択が、自分にとって必要な選択で、結果的に前向きな決断となるのなら、むしろ応援します。

けれど、単にくじけたからもうやめる、というのは、諦めるということです。

「あのとき、くじけた。」「諦めた。」「挫折した。」「放りだした。」という記憶は、何年経っても後から思い返すたび、自分を苦しめ、自分の自信を失わせる記憶になりえます。

だから、くじけないでほしい。
同じ「やめる」でも、前向きな次へのステップとして羽ばたけるその日まで、
どんなにすこしでもいいから、続けてほしい。

人生や人間関係は難しいことも多いですが、空手の稽古や道場の人間関係はシンプルです。
仕事や勉強が忙しくても、怪我をしていても、病気でも、道場では無く家でも、空手家としていくらでも稽古を続ける方法があります。

自宅で毎日1回だけ型を打つ。
短い型なら、一回30秒で終わります。
それでも、1年で365回、2年で730回、3年やれば1000回超え、すごい稽古量になります。自信になり、誇りになります。

くじけず続ける。
続けさえすれば、続けたことそのものが、いずれ自分を支え、自分が胸をはれる自信の根拠になります。